免疫とエゴ

免疫については、安保 徹(あぼ とおる)先生の著書を読んでいただくとして、まずはエゴと《免疫力》との関係から話を進めていきます。最初に、エゴとは何かを見つめていきましょう。

ラテン語のego(「私」の意)で自我。自己。元々は精神分析で使い始めた言葉です。これだけでは分かりにくいので、具体化してエゴイストとして意味を調べると、①利己主義者②自我論者と辞書には出ています。これを、自分勝手な人とか自分の利益をまず考える人と思い込んでしまうと、ホンモノのエゴの正体を見失います。カウンセラーでさえエゴそのものを捉えるのは容易ではなさそうです。

そのカウンセラーのひとりに、リズ•ブルボー(1941年カナダ、ケベック州生まれ。作家、カウンセラー)がいます。彼女のエゴイストの定義は、その繊細さと鋭さにおいて卓越しています。
「ほとんどの人は、他の人たちのことよりもまず自分のことを考えるのがエゴイストだと思い込んでいます。そうではなくて、本当は〈エゴイスト〉とは、他の人に対し、その人のニーズよりも、まず自分のニーズを満たしてくれと要求する人です」
つまり、あなたが〈エゴイスト〉にならないようにするには、リズは、極めて注意深く
「他の人たちのことよりもまず自分のことを考えるように」と言っているのです。

私たちの《免疫力》が十分だったら、流行病にもかからないし癌にもならないといわれています。では、十分ではなかった場合には?そう、たとえば予防接種を受けますよね。世の中では今、インフルエンザワクチンを接種すると、仮にインフルエンザにかかっても軽く済むとまことしやかに言われています。予防とは、予め(アラカジメ)防ぐということなのに、仮にインフルエンザにかかってもとは、かかった訳ですから防げなかったということです。最近、変な日本語が増えています。こういう言葉には免疫を持ちたくないものです。

ジェンナー、パスツール、北里柴三郎etc、免疫の研究者を数え上げたらキリがありませんが、ワクチン製造には鶏卵を使ったり、抗生物質にはカビを利用したりとか色々な方法があります。ただ、鶏卵でもカビでもそれぞれの生物には、それぞれの生き方をするという自由意志があります。その意志を、ワクチンの製造のために捻じ曲げられているのが現状です。〈エゴイスト〉とは、他の人(鶏卵やカビ)に対し、その人(鶏卵やカビ)のニーズ(鶏卵やカビの一生)よりも、まず自分(人間)のニーズ(その病にかからない)を満たしてくれと要求する人ですとリズは言っていると、私は翻訳するのです。

どこかの国では、集団的自衛権を確立したので「これで抑止力がついた」といっている人がいますが、他の国にしてみれば「これは攻撃力がついたぞ」と解釈するんです。自分の国のは自衛隊、よその国のは軍隊という言葉の使い分けは《免疫力》を著しく低下させます。よその国のも自衛隊と呼ぶか、自分の国のも軍隊と表現するようにしないと自分の国体?いや、肉体の実体(実態も含む)をつかめません。

《免疫力》は攻撃力ではないんです。悪さをしようとしている菌やウイルスはいません。最近では、抗生物質を使い過ぎたために菌の方が鍛え上げられて、抗生物質の効かない耐性菌が登場してきました。そして、悪さをし始めました。怒っている癌もいません。治療の現場では「癌をたたく」という表現をしたりするようですが、たたかれた癌は、さも怒ったように勢力を増していきます。

抗生物質やワクチンその他の薬たちという、他の力を借りて集団的に自衛権を作ると、自前の《免疫力》が失われていきます。身体の今を勘違いしてしまうんです。その後、次第に心は静かな判断ができなくなっていきます。エゴのデビューです。一方、自己《免疫力》が十分にあれば、身体を訪れた菌やウイルスは訪れたときと同じように去っていきます。癌も発生しませんし、仮に発生したとしても怒ってはいないので、増殖せずに静かにしているか消えていきます。

ここで、私たちの身体を去来するものたちを吟味してみましょう。すぐに思い当たるのが、空気です。吸って吐いてだけに見えますが、肺に吸気された空気から酸素が血中に入り込み、心臓を経て全身を旅します。入れ代わりに全身ツアーを終えた先発組は、旅疲れで二酸化炭素と名前まで変えて、肺から吐き出されてきます。空気たちに野心はありません。淡々としたものです。その空気に便乗している菌やウイルスたちも、人々からは空気感染などと呼ばれているだけで、《免疫力》のある身体であれば通過するだけのことです。

その空気たちをたくさん取り入れようとする深呼吸を観察してみましょう。「はい、深呼吸して下さい」というと、ほとんどの人は胸いっぱいに息を吸い始めます。当たり前じゃないか!とあなたもこの文を読みながら吸っているかも。それは、深呼吸とは違いますよ。深〈吸呼〉です。まず、身体に残っている息を吐くんです。完全に吐き切ってカラッポで2~3秒後、そのまま力を抜けば空気たちは喜んだように飛び込んできます。次に、過呼吸症候群を翻訳してみますね。発症のきっかけは不安感からといわれています。苦しい症状なので恐怖を感じ、たびたび発作をくり返すようになってきます。この不安感や恐怖とは?深呼吸で、まず吐かずに吸おうとするクセとは?それらは一体どこからやってくるんでしょう?エゴからです。

ここで、改めて断っておきますが、私はエゴが悪いと言っている訳ではありません。ましてやエゴを持っていることが悪いのでもありません。エゴは人間の脳の同居人ですから。次回は、食物とエゴとの出会いを取材します。

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