エゴの回収

人間の脳。その同居人、エゴ。ある日エゴが同居をやめて、その人から離れるときがやってきます。死です。脳が停止するのですから、エゴは同居を続けることができなくなるのです。そこでエゴは元いた場所である【時間】に戻ります。そしてエゴの本来の姿としての【火】に還るわけです。

人が亡くなったとき、私たちは荼毘に付します。いわゆる火葬ですね。世界では、土葬や水葬、風葬、さらには林葬や鳥葬という風習もあります。火葬は文字どおり火を使いますから、エゴは本来の姿へとそのまま帰還していきます。ならば、他の葬儀でのエゴの帰還の様子はどうなのでしょう。

実は土葬も水葬も風葬も林葬も鳥葬も、すべてにおいてエゴは【時間】と【火】に回収されていきます。その様子を翻訳しながら述べてみましょう。
火葬に比べて他の葬の儀は、ゆっくりという時間を必要としていることがわかります。遺体は埋葬された後、長い【時間】をかけて土に還っていきます。土にはバクテリアがいて、生態系の物質循環の役割を果たしています。つまり、遺体はバクテリアのエネルギーになるんです。カロリーという熱還元【火】ですね。そうやって土に同化してやがては『土になる』のです。

水葬はどうなのでしょう。「海の藻屑となる」という表現があるように、海にはバクテリアよりも大きい生物が多種類にわたって棲息しています。その生き物たちの食物連鎖の出発点に、水葬にされた遺体があると思ってください。あとは連鎖していく捕食のストーリーを想像してみてください。そこには、食べて食べられるという【時間】があります。そのときに、消化されて栄養という【火】になるのです。

風葬はどうなのでしょうね。その続きは次回にしましょう。

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