世界と社会

社会では、『愛国心を持とう』と強く働きかける時期が一定の周期でやってきます。国は内臓と外臓の間にある臓器のひとつ、中臓です。胃のような国もあれば、心臓のような国もあります。腎臓のようにペアで支え合っている国もあります。どの国がどのような臓器かは、どうぞ想像してみて下さい。面白いですよ。

ところで、腎臓が二つもあることに触発されたのか、二つの肝臓、ひとつの肺、三つの膵臓というようにたくさんの臓器を集めて、より強い国体を作ろうとしたユーロ圏という組織もあります。この、より強いというのは、アメリカ合衆国より強いなのか、ロシアより強いなのか、中華人民共和国より強いなのかは、見る人の立場によって違ってくるでしょう。それとも、今までより強いということかもしれません。

強くすることだけに専念すると、必ずどこかに歪みが出てきます。身体にたとえてみれば簡単です。アスリートが、筋肉だけを作り過ぎたために故障したというニュースはたびたび目にします。筋肉を支える骨はどうなのか、骨を造るカルシウムは十分なのか、カルシウムの補給の食生活はどうなのか。カロリーやエネルギーを取り込むだけでいいのか。消化する時間や、それを吸収する個体差は理解されているのか。

社会に話を戻しますと、国のことが気にならない状態がもっとも健康的です。健康に気を配るのはいいんですが、気にし過ぎてしまうと厄介なことになります。胃の場所がわかる時は、体調がすぐれない時でもありますよね。他の人よりも強くなりたいと思うと、無理をして自分のペースを乱してしまいがちになります。誰かが誰かに、もっと自分の国を愛しなさいというのは、筋肉の鍛え過ぎになりがちです。また、他国よりも強くなれというのも、自国のペースを乱してしまうことになりがちです。

違った価値観があればあるほど、社会は健康ですし、国も穏やかです。スポーツはすばらしいし素敵です。やるのも観るのも好きな人は多いと思います。でも、社会や国がアスリートみたいになっていくのはどうでしょうか。それが合わない人、つまり違った価値観や、その方針というカロリーやエネルギーに消化器が悲鳴をあげる人もいます。

次回は、社会と会社を観察します。

身体と世界

アマゾン川流域の森林ほどではなくても、世界各地に森や林があります。それらが私たちの外臓のひとつ、肺です。樹木や草などの植物たちが光合成をして、酸素と二酸化炭素の出し入れをしています。そして太平洋や大西洋、インド洋、地中海などが腎臓です。もちろん、東シナ海も日本海も世界の海は腎の働き、濾過作用をしています。

1,000年で地球を一周している深海流は、肝臓ということです。解毒作用とエネルギーの貯蔵庫ですね。沈黙の臓器といわれる肝臓の特徴をよく表しています。一部の研究者たちの地道な調査でわかったことは、その深海流の汚染がかなり深刻だということです。

私たちは自分の内臓が不調のときはすぐに病院や薬局にとんで行きますが、外臓の不調となると、ワタシタチノという意識が低いかまったく気づいていないので行動が遅くなります。グローバル時代になったといわれていますが、元の元からこの星はグローブなのです。静かにこの惑星を眺めてみる時が来ているのかもしれません。ちなみに、先住民のことをアボリジニといいますが、aborigineのabは元、originも元という意味です。つまり、元の元の人たちです。

私たちの多くは後から住み始めた人たちなので、いわば後住民。先に住み始めた人たち、すなわち先住民の知恵や風習、伝統や祈りに静かに身を寄せてみる時が来ているのかもしれません。

次回は、内臓と外臓の間にある臓器、中臓を眺めてみます。