社会と会社

会社のことを組織と呼んだりしますが、機関も組織のひとつです。金融機関や交通機関などです。機関の同音異義語で器官ということばがありますが、面白いことに機関も器官も英語ではorgan、最初に書いた組織もorgan、そして臓器も実はorganといいます。
普通に使っている日本語を外国語に言いかえてみると、別の景色が現れることがあります。organは英語読みでオーガン、ドイツ語読みではオルガン。オルガンって、そう、パイプオルガンやハモンドオルガンで知られている楽器のことですよね。その音はみなさんも聴いたことがあるでしょう。名プレイヤーで作曲家のバッハや、ちょっと前にはジミー・スミス。あるときは荘厳で、あるときは切なく優しく響きました。

社会的動物の典型が人間といわれています。社会人、社会面、社会的、社会性、社会史などなど。だとしたら、きっと無意識に自分の身体ソックリに自分のまわりを作っていこうとする傾向が出ているはずです。まるで臓器のように。まるでオルガンのように。世界を、国を、社会を、会社を、まるで自分自身の身体に似せるように仕立ててきたはずです。いいとか、悪いとかではありません。

これらの無意識を週に一度ほど意識して観てみることは、実はそれほど難しいことではありません。しばらく続けていると、そうすることが楽しくなってくるのを実感するでしょう。さらに、面白いライフスタイルになっていくと思います。

次回は、会社と人間をハグします。

世界と社会

社会では、『愛国心を持とう』と強く働きかける時期が一定の周期でやってきます。国は内臓と外臓の間にある臓器のひとつ、中臓です。胃のような国もあれば、心臓のような国もあります。腎臓のようにペアで支え合っている国もあります。どの国がどのような臓器かは、どうぞ想像してみて下さい。面白いですよ。

ところで、腎臓が二つもあることに触発されたのか、二つの肝臓、ひとつの肺、三つの膵臓というようにたくさんの臓器を集めて、より強い国体を作ろうとしたユーロ圏という組織もあります。この、より強いというのは、アメリカ合衆国より強いなのか、ロシアより強いなのか、中華人民共和国より強いなのかは、見る人の立場によって違ってくるでしょう。それとも、今までより強いということかもしれません。

強くすることだけに専念すると、必ずどこかに歪みが出てきます。身体にたとえてみれば簡単です。アスリートが、筋肉だけを作り過ぎたために故障したというニュースはたびたび目にします。筋肉を支える骨はどうなのか、骨を造るカルシウムは十分なのか、カルシウムの補給の食生活はどうなのか。カロリーやエネルギーを取り込むだけでいいのか。消化する時間や、それを吸収する個体差は理解されているのか。

社会に話を戻しますと、国のことが気にならない状態がもっとも健康的です。健康に気を配るのはいいんですが、気にし過ぎてしまうと厄介なことになります。胃の場所がわかる時は、体調がすぐれない時でもありますよね。他の人よりも強くなりたいと思うと、無理をして自分のペースを乱してしまいがちになります。誰かが誰かに、もっと自分の国を愛しなさいというのは、筋肉の鍛え過ぎになりがちです。また、他国よりも強くなれというのも、自国のペースを乱してしまうことになりがちです。

違った価値観があればあるほど、社会は健康ですし、国も穏やかです。スポーツはすばらしいし素敵です。やるのも観るのも好きな人は多いと思います。でも、社会や国がアスリートみたいになっていくのはどうでしょうか。それが合わない人、つまり違った価値観や、その方針というカロリーやエネルギーに消化器が悲鳴をあげる人もいます。

次回は、社会と会社を観察します。