人物連鎖 ④

ところで、この食物連鎖の中で最初に登場する微生物は何を食べて暮らしているのでしょう?特にここでは捕食連鎖というぐらいですから、何かを捕まえて食べていることになります。そうでないとfood chainの鎖が切れてしまいます。
実は微生物は、生物と無生物を食べて暮らしているのです。
まずは生物。ここでいう生物とは、他の微生物と生物群の排せつ物のことです。排せつ物の中にいるのは、これもまた微生物。たとえば、菌類もそうでしょう。これでチェーンがつながりました。

それでは、もう一つの食べ物の無生物の方は何かというと、ミネラルです。よく、健康診断などで『カルシウム不足』『鉄分補給』などの結果が出ますが、これもミネラルです。そしてこのミネラルはどこにでもいます。岩などの鉱物の中はもちろん、土や水の中。街の自販機のミネラルウォーターの中にもいます。そして生物の死骸にも。リンや銅やカリウムなど地球上のミネラルは、私たち生物の中にほとんどいます。
無生物のことだから、「います」ではなく「ミネラルはあります」なのでは?
そんな声が聞こえてきそうですが、これは本題の『人物連鎖』のメカニズムを解く重要なキーワードになるので、そのまま話を先へ進めます。

海洋汚染が始まると最初に被災するのは微生物です。その微生物を大量に食べて子孫を残そうとするのがプランクトン。しかし、プランクトンは食べた量と同じ数だけの子どもは産めません。そのプランクトンを大量に食べる小魚にとっても同じことです。
生命の連鎖はここで、あることを始めます。生物濃縮をするのです。簡単に言えば、体に入った物が分解•排出されにくい場合に見られる現象のことです。

これが困った事態を招きます。体内に入った汚染物質は、
◆微生物→プランクトン→小魚⇒中型魚⇒大型魚⇒
という食物連鎖を経て濃縮率が数千倍から数十万倍に膨れ上がっていくのです。そうやって汚染は広がり、結果その生物たちの死を招きます。
食物連鎖とは、食べるという行為から成り立っている!
ここで改めて、このメカニズムをしっかりと確認しておきます。

では、『人物連鎖』の人物、つまり人間は何を食べて暮らしているのでしょうか。
「普通に食べ物でしょう」
「栄養物をとるのが当たり前」
「当然、カラダに害のない物だ」
この、普通、当たり前、当然ということにはかなりの注意が必要だと私は『人物連鎖❸』で言いました。真実を見落としてしまうとも言いました。
それでは、人間が毎日食べている物の中でもっとも重大な食べ物とは何でしょうか。
それは、出来事です。
プラス、その出来事を起こす人物です。
それを栄養にして私たちは毎日を暮らしています。

子どもが生まれるという出来事。母になるという出来事。
父親の自覚を持つという、外から見えにくいけど心で起きている出来事。
赤ちゃんの笑顔に母も笑顔になっていく出来事。そばにいる父親も、つい微笑んでしまうという出来事の連鎖反応。
ところで、
この赤ちゃんは何に笑ったのだろう。
すでにお母さんの顔に出ていた笑みに対して。
その笑みはどこから?
そばに夫がいる安心から。
夫はなぜ母子のそばにいるだろう。
ホッとするし、何だか力が湧いてくるので。
ここでは、子、母、父の3人の人物の連鎖が起きています。

子どもが生まれた時までさかのぼってみると、何人もの人物が登場していました。産院の看護師や医師。もし自宅出産なら、助産師。お祝いに訪れた親族や友人知人。
それらの人物が交わした笑顔や会話という出来事の連鎖。人物の連鎖。
この3人家族の前に現れた人物たちは、きっと3人の心の中まで訪れたことでしょう。そのおかげで穏やかな心になるという出来事は、またしても3人に笑みをもたらす出来事に連鎖していく。
これからこの赤ちゃんは乳児から幼児へと育ちながら子ども時代を過ごしていくのです。どんな人物が連鎖してこの子の心を訪れるのでしょう。

高速道路で【逆恨み】した容疑者にも幼児期があったはずです。子ども時代のない人はいません。果たして、彼の前に現れた人間はどんな人物だったのでしょうか?

~続く~

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